二重積分 [2]

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ガウス積分

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 これを取り扱っていない参考書、演習書はないといってもいいくらい有名な極座標変換の実用例です。もはやこれは公式レベルなので、改めてここで導出するまでもないかもしれませんが、一応自分なりの解釈ということで、導出過程を書いておきます。ちなみに、この積分は名前がつくほどに有名で、ガウス積分 (Gaussian Integral)と呼ばれています。
 一変数関数なのにどこが二変数関数の極座標変換と関係があるのか、という感じですが、よくみるとこの関数、原始関数が作れないことがわかります。隣に x の項でもくっついていたらあっという間に解けたのですが、それがないだけでこんなにも考えさせられる問題になってしまうのですね。そもそも、この手の問題ならいくらでも意地悪すれば作れると思いますが、なんでこの積分に限ってこうも取りざたされるかというと、実用することがあるからですね。たとえば実用的な関数でいうと、正規分布の関数などがこの形になっています。
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 とりあえず、そのままじゃどうしようもないのでなぜか二変数関数ということにします。
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もちろんこれは I そのものではありません。ただ、よくみてみると、積分範囲は変数による関数依存ではありませんし、被積分関数も累乗を分離すればそれぞれ完全に独立なものになりますから、
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となることはわかります。ここで、上の式変形の真ん中のまんまで考えても結局何も得られませんから、関係が明らかになったところでやっぱり一番左のままで考えます。先ほどの極座標変数変換の例で書きましたが、"積分範囲が円または全域" で、"被積分関数が二乗の項を含むもの" は、とりあえず極座標を試してみるといいんですね。なので、やってみます。
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相当技巧的ですが、あの "x でも横にくっついてたら出てたら簡単にできたのに・・" と思っていたその x が、まさに極座標変換によって出現したのです (ここでは積分変数が r になったので r ですが、そこは本質的な問題ではない)。ここからはもう高校生の知識だけでやっていけますので、
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置換積分はもう慣れっこのはずなので頭の中で一気にやってしまいます。結局、これは π ということになりました。したがって、最初の関係により、
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ということがわかりました。本当は r の方は広義積分なので ∞ を値であるかのように扱ってはいけないのですが (部分的に積分したあと、極限をとらなければならない)、この場合関数の形状からしても収束に向かうことは目に見えているので簡単のためそのまま値を入れました (発散する場合は極限値があったりなかったりするので、必ず極限を取る方法にしなければならない)。
 なお、これはガンマ関数の 1/2 の場合になっているので、実はこれはマイナス 2 ぶんの 1 の階乗ということもできます。正の整数しか存在しなかったはずの階乗に分数しかもマイナス 、おまけに値はルートπ、無理数に無理数といった感じでなんとも奇妙な式ですね。

非常に煩雑な二重積分

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 今までやってきた問題の中でも 1, 2 を争う煩雑さ・複雑さです。多分試験などではここまでの問題は要求されないでしょうが、全問隙間無く理解したいという根性で最後までやってしまいました。でも分かれば一変数関数の積分の技術が思う存分発揮できて、非常に楽しい問題です。
 とりあえず積分範囲を出します。与えられた不等式を見ればすぐ分かる通り、原点が平行移動された円ですね。念のため書いておくと、
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一見極座標変換すると楽そうに見えますが、被積分関数の形からして、極座標変換しても何も恩恵がありません。むしろ、複雑になってしまいます。一見形も単純だし、何が複雑なのか分かりませんが、進めていくと分かると思います。
 被積分関数は、x だけ二乗なので、D の範囲は円なためルートは絶対出てきますから、x から積分すると楽そうです。したがって、x から積分するようにします。y の範囲は平行移動されているので -a≦y≦a ではなく、0≦a≦2a であることには注意しなければなりません。
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もうこの辺からやる気がなくなってきましたね。でも思い切って進めます。、
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こんな面倒な範囲ではノートの隙間もなくなってしまうというものです。早く積分を終えたいのですが、この形の関数には公式 (※下の画像は右辺を 1/2 倍するのを忘れていました。正しくは右辺はその 1/2 倍です。)
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があるため、便利なことにすぐ原始関数に持って行けます。この辺の公式はしっかり演習しないと頭の中には入っていないと思われるので、この式の導出含めある程度訓練はしておいた方がいいでしょう。
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となるので、そのまま代入して、x の積分は終了となります。
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予想通りといえば予想通りですが右のかっこと左のかっこは中身が同じになるので結局左の 1/2 が消えて片方のかっこだけの積分となります。arcsin は sin と同じく奇関数なので前にマイナスが出せます (sin の公式を思い出すと、当然といえば当然)。あとは、かっこの中身を整理します。
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これでだいぶんすっきりしました。項は二つに分かれたので、分けます。
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これらを積分します。左の項はすぐ置換積分すれば済むのでいいのですが、右の項が何が何だか分かりません。またこれも非常に複雑な積分をさせられてしまいます。とりあえず簡単な左から見てみます。
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こちらは大して難しい積分ではありません、高校数学の範囲ですね。問題はもうひとつの方です。とりあえず arcsin が中身からしても、ものすごく扱うのが面倒なので、arcsin 自体を角度として置換積分してしまうことを考えます。
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するとこうなります。あとは dy と dθ との関係を割り出し、積分範囲を求めます。
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arcsin は sin の逆関数なので、arcsin に逆関数 sin をかぶせると中身の値が直に出てきます。したがって、
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となります。ここまでの過程がやや辛いですね。ここからは急展開を迎えることになります。見ての通り、sinθcosθとか1-sin^2 θ のような高校数学で見慣れたあの倍角公式がそろいにそろっているので、さっそく適用します。
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2 回も適用してしまえるのですね。sin の倍角公式のために 2 が必要なので、左についている係数から 2 回持って行きました。したがって、係数が 4 になっています。あとはもう部分積分をするだけです。
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右の項は事実上の周期積分なので打ち消し合って 0 になりますから計算するまでもありません。したがって、
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となりました。一見簡単に見えるのに、ここまで複雑な手順を踏まなければならないのは疲れますね。

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