電磁気学 [1] - クーロンの法則

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 ここでは、いちいち文章中に数学に関する説明を混ぜるとまどろっこしいので、微分積分やベクトル解析 (ベクトルの微分積分や諸定理、公式) 等の知識は断りなしに用いることにします。

クーロンの法則

 クーロン (Charles-Augustin de Coulomb) は、1785 年、ふたつの電荷 q1, q2 が存在するとき、その電荷同士は互いに力を及ぼし合うことを発見しました。これをクーロンの法則 (Coulomb's law)とよびます。ここでは、電荷 q2 から q1 に働く力を F とすると、具体的に
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のような力が働きます。ε0真空の誘電率 (permittivity of free space)といい、
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で与えられています。 4πε0 の 1 という奇妙な比例定数がついているのは、単位系のとりかたによるものです。このように定義すると、一番最後に出てくるマクスウェルの方程式が簡単になるため、この定義が一番よく用いられます。ベクトル r の上の ^ 、サーカムフレックスのような記号はハットと読み、そのベクトルの単位ベクトルであることを表しています。この力 F は、電荷 q2 が q1 に及ぼす力なので、q1 に向かう位置ベクトルの方向を向いているのは当然ですね。
 ただし、気をつけなければならないのは、電荷には正と負が存在するということです。要するに、q1, q2 ともに、正負どちらもありえるので、その組み合わせによっては、上の式の q1q2 の部分の符号は、正にも負にもなります。たとえば、もし両方正、あるいは両方負だった場合は、上の図のとおりの向きを向くでしょう。つまり、この力は互いを遠ざけようとする力、斥力になります。しかし、互いに異符号だった場合は、q1q2 が負になるので、実際に働く力は、上の方向ベクトル r の方向とは逆の方向を向くでしょう。このときは、互いを引きつけようとする力、引力になります。ちょうど以下の図のようですね。引力か、斥力かは常に気をつけなければなりません。どっちも正かどっちも負なら反発しようとし、片方が正でもう片方が負なら引きつけ合おうとします。
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多電荷系のクーロンの法則

 クーロンの法則を、どういうモデルにおいてかはさておき、実際に使うとしましょう。でも、そのとき、あんな小さい電荷が 2 個しかないというのも変な話です。ふつう電荷は何個も散らばったりしてるか、連続的に分布しているか (つまり大量に敷き詰められている) 、そんな感じの状況の方がずっと多いはず、特に後者。ここではまず、複数の電荷、具体的には N 個の電荷が散らばっていたとしましょう。すると、以下の図のような状況です。
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このとき、電荷 q にかかっている力は、全部でどれほどなのでしょうか。直感的には、q1 が q に及ぼす力に q2 が q に及ぼす力、そして・・・と、それぞれの電荷が独立して q に及ぼす力を足し合わせていけばいいように見えます。実際、それは正しく、上の場合において、q がすべての電荷から受ける力 F は、
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で与えられます。このように、多数に影響を受けている場合においても、それぞれふたつだけだったときの場合の影響を独立に足し合わせれば、最終的な結果と一致するというのを、重ね合わせの原理 (principle of superposition)といいます。これは、様々なところで出てきますが、一般には、相互作用なども考えられるはずであるので、このように重ね合わせの原理が成り立つのはむしろ少数であることには常に注意しなければなりません (だから教科書では、一見当たり前のように思えるのに、わざわざ重ね合わせの原理が成り立つと書いてあるともいえる)。

電荷分布に対してのクーロンの法則 [1] - 線密度 λ

 離散的に電荷が分布している場合は、先ほどの場合ですが、今度は連続的に、沢山敷き詰められているとしましょう。こういう場合、一個一個集計しているようでは、日が暮れてしまいます。もし夜にこのページを見ている場合は、すでに日が暮れてしまっているため、夜が明けてしまいます。電荷はすごい小さいのだから、それは目に見える範囲で分布しようものなら、何万個どころか何億個もっとそれ以上と電荷があるはずですからね。そういうときは、単位長さ、面積、体積あたりに平均的にどのくらい電荷があるかを定数あるいは関数としておいてしまい、それを集計しようという手法がとられます。これらは密度とよばれるものですが、電磁気学には主に三種類の密度があります。線密度 λ, 面密度 σ, 体積密度 (通常の意味の密度) ρ です。
 線密度は、電荷が線のような細長いものに沿って分布しているとき用いられます。幅とかそういうのはなく、長さという概念しかないため、単位は単位ながさあたりの電荷量 (C) 、つまり、[C/m] になります。もし、任意の経路 C に沿って、線密度 λ が分布していたとすると、以下の図のようになります。
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ここで、λ は定数ではなく、場所によって値が異なる、位置の関数 λ(r) であることに注意しなければなりません。問題を解く上では、そんな難しい関数になってても解けないので、たいていというかほとんどすべて密度は定数として扱いますが、普通はばらつきとか偏りとかその他いろんな要素で、一様には分布しないはずですので、このことは常に意識します。ですから、定数という保証がないかぎり、むやみに密度をシグマやインテグラルの外に出そうとしてはいけません。
 そのうえで、上の図の場所にある電荷 q にはたらくクーロン力を求めたいわけですが、そのままではどうしようもありません。これを求めるにはやはりというべきか、積分を使います。それにはまず、経路をものすごく細かく、具体的には「点とみなしてもよいような」 N 個に分割します。それぞれの微少距離を Δsi とおきます。すると、任意の i 番目の区間には、距離 Δsi、その地点での電荷分布 λ(ri) があるはずなので、かけあわせて、その区間に存在する点電荷 (のようにみえる細かい区間にある電荷) λ(ri)Δsi を得ます。これによって、クーロンの法則をそのまま適用でき、微少な区間のうち i 番目からうける力は
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であることがわかりました。したがって、クーロン力には重ね合わせの原理が成り立つので、これをすべての N 個について足し合わせれば
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となります。しかしこれでは、単に連続量を離散化しただけに過ぎないため (しかも、点じゃないのに無理矢理 λΔs を点電荷として扱っている)、具体的に計算できるようにするには、λΔs を本当の意味で点電荷にする、すなわち幅を 0 に持って行くことが必要です。これをするためには、ついに出ました、 Δsi → 0 の極限を取ります。すると、区分求積的なノリで r 各変数は連続量へと変化し、シグマは積分になります。これによって、
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を得ます。こんなのいちいち出てくるたび考えててもしょうがないので、いったん理解を得たら、多電荷のクーロンの法則と対比して覚えます。
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要するに影響を与えていた点電荷が qi から、経路を超微細に分割、それはもう点電荷と見なせるくらい細かく分割したときの点電荷 (にみえる線電荷) λds におきかわっただけで、しかもこっちは連続的に電荷が並んでいるのだから、それは経路にそってなめらかに集計していかないといけないですね (=線積分しろ)、ということです。このイメージを焼き付けておくともう忘れないと思います。結局重ね合わせの原理が使われてるだけなんですね。

電荷分布に対してのクーロンの法則 [2] - 面密度 σ

 線密度が分かると、残りは簡単です。面密度 σ は、線から次元が増えて、平面 (曲面) において、単位面積あたりの電荷量を平均的に示したもので、その単位は [C/m2] となります。線密度と全く似たような図、手順によって、面電荷が分布する任意の面から受けるクーロン力を求めることができます。
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図より、微小面積 ΔSi から受ける力 dFi は、線密度と同じような感じで
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ですので、これの総和をとってそのあとで極限を取れば
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と求まります。これも、面上で小さな dS をとり、その点における平均的な電荷量 σ(r) をかけて点電荷 σdS を得、面上にわたって面積分することでおのおのの点における微小なクーロン力を重ね合わせているだけです。

電荷分布に対してのクーロンの法則 [3] - 体積密度 ρ

 体積密度 σ は、体積において、単位体積あたりの電荷量を平均的に示したもので、その単位は [C/m3] となります。
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図より、微小面積 ΔVi から受ける力 dFi は、これまでとまったく同じように
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ですので、これの総和をとってそのあとで極限を取れば
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と求まります。これも、体積中で小さな箱 (別に箱じゃなくて球などでもいいのだけど) dV をとり、その点における平均的な電荷量 ρ(r) をかけて点電荷 ρdV を得、体積内部にわたって体積分することでおのおのの点における微小なクーロン力を重ね合わせているだけです。

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